下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年7月15日発売)
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学ぶ意味、働く意味を考えることは重要じゃない。そんなのは学ぶ、働くうちに見つけるもの、或いは見つからなくても良いもので、学ぶ、働くというのは当たり前のこと。という理解は強引かな?
内田さんは子供のうちに労働主体として生きることを経験するべきと言っている。そうかもね。自分が生きている社会は誰かの労働の上に成り立つもので、生きているだけで恩恵を受けている。働かずに生きていくというのは難しいこと。

私が物心ついた時、労働というものは自分以外の他人が担うもので、その対価に自分の何かを差し出すという考えはなかった。親が子どもに「寝床と食事は与えるからその分働け」なんて言ったら虐待扱いされますもんね、今なら。でも昔は子どもも働き手とみなされてたんですよね。食べていくためには子どもも働く必要があった。そうしないと家族が生きていけなかった。

何のために働くのか、とか考えることもなかったんでしょう。働かなきゃ生きていけないから。
今は働かないでも生きていける人がいる。衣食住やそれに相当する金銭を他人が与えてくれれば。子どもが生きていくのに必要なものを、子どもの労働なしに親が与えることもできる。余裕があるんでしょうね、昔に比べたら。

働きたくない人が働かないで生きていけるようにはならないのかな?今は他人を養う余裕がある人がいるわけで、その余裕を機械に労働させたり仕事を効率化させることで大きくしていけばいいのではと思うんだけど。
でも賃金が安いから共働きじゃないと子育て、生活が厳しい人も増えてる。これから余裕はむしろ小さくなっていくのかな。

労働からの解放というのは実現されないかなぁ。星新一さんの世界みたいだけれど。働かないでも生きていける社会になったら、どれくらいの人が働いてどれくらいの人が働かなくなるんだろう。いっぺん見てみたい。
政府から半年分くらいの生活費が全国民に与えられて、その期間働く必要はないと宣告されたら。物が買えなくなるしサービスも提供されなくなる。電気も水も使えなくなるかもしれない。働く人がいないから。水が使えなくなったら死ぬから、水道局に出向いて仕事を教えてもらって実践するかもなぁ。水道局の人に教えてもらう対価には何を差し出したらいいだろう。めんどくさいからって拒否されたらそれまでだしな。

食べ物は?スーパーに出向いていっても営業してなかったら、無理矢理こじ開けて盗むかもしれない。警察だって働いていないかもしれないし。そうなったら法律が機能しないから誰かに危害を加えられる可能性もあるね。なんか殺伐としてきたな。

やっぱり労働がある世界の方がいいか。働く人が大勢いるからこそ毎日食べる物があってインフラがあって安全に眠れる家があるんだし。
でも1日2時間週2日労働くらいに短縮されないかな、なんて理想はまだ持ってます。皆がもうちょっと楽できたらいいのにね。

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感想投稿日 : 2021年2月16日
読了日 : 2021年2月16日
本棚登録日 : 2021年2月16日

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