親子、兄弟といった関係性でピラミッドを形成するやくざ世界を舞台に、
生き残り、上へ登りつめるための様々な謀略の物語。
面白かった。
完全な階層社会に生きる彼らにとって、
その頂を目指すことは、権力、金、女、シマといった様々な利得を
次々と獲得していくことになる。
本作ではその欲望に魅せられた男達の戦いが描かれていることは確か。
その一方で、実は案外、言われなく若手の前で小突かれたとか、
理不尽に怒鳴られたとか、前にボコボコにされたとか、
ある意味で幼稚で些細なプライドの毀損が、
チンピラや幹部問わず、結果的に大きな謀反のきっかけと
なり得ているということを示す描写が実にきめ細やかで印象的。
凄惨な暴力の発露は、欲望や衝動だけにかられるわけではない。
レベル感は全然違うが、普通のサラリーマンでも合点のいくところだと感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
バイオレンス
- 感想投稿日 : 2013年5月11日
- 読了日 : 2013年5月11日
- 本棚登録日 : 2013年5月11日
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