日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2014年1月17日発売)
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感想 : 57
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日本兵および日本の軍隊に対しての、まさに
戦闘中のアメリカ軍からみた考察資料です。

随所で指摘されていることは、自分の考えで
行動することが不得手。想定外の出来事に対しての
対応力が脆い、という部分です。
天皇や靖国のために戦っているのではなく、
味方の虐待や体罰が怖いから闘っているに過ぎない、
とまで言い切る米兵の証言まであります。

上から言われて「やるぞー」とか「センニンギリ」と
かを絶叫する(させられる)ところなどを読むと
やはり戦略もなく、気合で乗り切ろうとする方向性が
読み取れてきます。
冒頭に書いた致命的な欠点、予期せぬ事態に対処
できないというところでは、防御のみでなく
攻撃の部分にも関係しています。
日本軍は攻撃の際に、大声をあげます。威嚇することで
恐怖を与えて後退させることを目論んでいるのですが、
そこで米兵が踏みとどまって交戦してきたら、日本軍は
混乱すると・・・・。

負けるべくして負けた戦争、ということが
よくわかります。
ここでこの戦争をどうこう言いたくはありませんが、
例えば対戦車肉攻兵。文字通り、戦車(日本軍に
対して地上戦では一番驚異の兵器でした)に
一個人が突撃して、運転席まで到達して爆弾を
投げ入れるという、確率の低い作戦です。
普通の人では、できないでしょう。
このことについて、著者はこう語る。
「なぜ日本軍がそのような攻撃にうってでたかという
答えは導き出せない。実際には、当事者たちが
合理的だと思ったからこそ、そのような挙に出た。
ただし<合理的>だから正当だったと主張する
のではない。問題は合理性の中身であり、そのごく
狭い意味での合理性実現のために多数の人命が
犠牲として供された」

事実はきちんと残しておかなければいけません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2014年2月27日
読了日 : 2014年2月24日
本棚登録日 : 2014年2月20日

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