知らない音は聞き取れないという考えの下、発音をマスターすることでリスニングを克服するという、語学学習の初期段階であるが盲点となっている部分を突いた本。
日本語で使う音と英語で使う音はあまりにもかけ離れているという。英語の43音のうち9割程度は日本人になじみがないらしい。しかし、英語学習は「壮大な慣れ」であり、発音を反復練習し、歌でプロソディ(イントレーション、アクセント、リズム等)を身につけて、読書で仕上げをすれば、英語学習の最難関であるリスニングを自分のものにできるという内容。
各発音記号ごとに口の図解と練習用の英単語(音声付)があり、とりあえずあの読みにくい発音記号に執拗に悩まされる心配はない。
発音のポイントも丁寧に解説されているし、プラスアルファの知識も掲載されているので、大満足といった充実振りだと思える。
また、著者の英語学習暦も大変参考になる。実務家の方であるが、理系のせいかとても論理的でムラがない。英語に対する姿勢が素晴らしく、周辺知識も豊富で、データに信頼が置ける内容となっている。
洋楽を教材として重視されているのには感動した。自分の経験上、リスニングは、洋楽を丸覚えで歌ったり、シャドウイング&ディクテーションである一定以上落ちなくなったので、本書の内容は非常に共感するところが多かった。なんとかカタカナ英語から脱したい、そんな純ジャパな僕。
古来より、翻訳することに重点が置かれていた日本社会に、内部から語学学習の黒船発生。沈没リスクを微塵も感じさせない、乗って損ナシ英語本。松澤さんは偉大です。
- 感想投稿日 : 2009年1月19日
- 本棚登録日 : 2009年1月19日
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