神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2002年2月28日発売)
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感想 : 1005
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再読。さくっと読める短編集。阪神・淡路大震災を題材として書かれている。
そのため、各話の背景には、どことなく登場人物たちの不安と孤独を感じさせる。

以前、他の短編の感想でも書いたと思うのだが(確か、ユーモラスで可愛らしい羊男が出てくる、ふしぎな図書館)、短編集ではあるが、しっかりと"村上春樹み"を感じることが出来る。
ちょっと村上春樹を読んでみたいと言う人には、他の短編集よりも、こっちをおすすめしたいと思う。

私が好きなのは、アイロンのある風景とタイランド。

表題作について。
母親がとある宗教にハマり、息子も布教活動をするのだが…宗教から抜けて云々と言う話。
幼い頃から父親は無く、母親から「あなたのお父さんは天におられる"お方さま"なのよ」と聞かされて育つが…
この辺が、1Q84の青豆を想像させる。勿論、細部は異なるのだが。


私は、村上春樹作品には"人生における曖昧さ"と言うテーマがあるのではと、ずっと思っている。結局その後はどうなったのだろう。あれはどういうことだったのだろう。そう考えても、答えが出ないことは沢山あると思う。そういうのを受け入れていくしかないこともあるし、時間が解決してくれることもある。
人によってはモヤモヤするかも知れないが、私はそれがとても好きなのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年11月3日
読了日 : 2023年8月7日
本棚登録日 : 2020年7月13日

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