アンダーリポート/ブルー (小学館文庫 さ 4-7)

著者 :
  • 小学館 (2015年9月8日発売)
3.75
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本棚登録 : 271
感想 : 25
3

――

 十五年前の殺人。
 被害者の妻。
 当時四歳だったその娘。
 かつての婚約者。
 そして、もうひとりの女。

 交換殺人。

 偶然ながら、ひとつ前のレヴューと好対照なものを読んだ。つまり題材としてはよくあるものを、これほど楽しく読ませてくれる作家は今や貴重かもしれない。
 真新しさや斬新なトリックがあるわけではないんだけれど、ストーリーテリングの妙があって。
 際立ったキャラクタや衒学的な文章に頼るでもなく、普通の会話が面白くなる。
 どこかそう、熟練のしゃべり、の達人がフリートークを面白くするのと似たような。
 同じ話も、語り口でこんなに変わるのか! ということがあるように。
 ただまぁそれも好みなんだろうなぁ。それこそ思考のつながり、その飛躍。ペース、テンポ。そういうのが、自分に合っているんでしょう。


 以下、伊坂さんのあとがきから引用。
“難解な言葉を駆使したり、退屈なストーリーを用意して、「よく分からない」小説にすることは比較的、容易だろう。その反対に、シンプルな筋書きを、決して難しくない文章で描き、迷宮のように仕上げるのは至難の業だ。この作家はそれをやる。エンターテインメントや純文学の区別などどうでもいい。「本物の小説家」とはこういう人のことを言うのだ(と僕は思う)。”

 僕もそう思います!←バカっぽい
 ☆3.4。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2021年8月5日
読了日 : 2021年8月4日
本棚登録日 : 2021年8月5日

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