こうして誰もいなくなった (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年11月20日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 16
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 まさにALICE in mystery land。
 滑り込み2月。月が終わる前に「今月は○冊読みました!」って通知来るとなんか今日中にもう一冊、ってなっちゃう。


 なんとなくこー、KADOKAWAってこーゆー作品集好きだよなぁという不安とともに読み始めたけれど、作者自身が「有栖川有栖の見本市」と称しているように、魅力の詰まった、そしてあまり目に触れていなかった作品もカバーした、素敵な一冊になっています。ほんとうに、パロディ書かせたら随一だよなぁ。原典や元ネタの魅力を十二分に伝えつつ独創的に書かれていて、その上きちんと、原典への道を残しているリスペクトもある。紀行文を読んでその場所に行きたくなるのと同じような効果があってよいですね。
 表題作はもちろんおすすめですが、いちばん気に入ったのは『本と謎の日々』。日常系も書けるぞ、と。

 冒頭の『館の一夜』なんかはいかにも好きそうだなぁ、という始まりかたで、そこから不思議の国のアリスへのオマージュ(笑)、少し趣を変えたショート・ショートから、少し重たくなって薄暗いところを超えて表題作へ繋がる構成も、ミステリ遊園地を案内してもらっているようで良かった。
 安定感よ。☆4.0

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2022年2月28日
読了日 : 2022年2月28日
本棚登録日 : 2022年2月28日

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