千早茜さんらしい、丁寧に紡がれたお話たち。あたたかくて美味しくてやわらかそうなのに、裏側はひりひりと痛いお話だった。
デザイナーとして生計を立てる女性の住む京都の町家で同居生活を始める元バイト先の後輩の男性と、研究一筋なその恋人。
三角関係未満…というにも定かではないふわふわとした関係をリアリティを損なわずに描けるのはすごいと思う。
出てくる食事たちの香りと音が鮮やかだから、かしら。
高村さんのつむぐ丁寧な暮らし。体が喜ぶご飯たち。でも伊東くんのことや不倫相手のことは知らないフリ、知るつもりもない。
知らなければ、なんの責任も生まれない、はず。
結婚しない、ことを決めた(決めたかどうかはわからないけど)女性の恋愛は自由で複雑だ。
狡さは自分を守るために必要だと私は思う。
一人で生きていくって、強いからできるわけじゃないよ。むしろ弱い。
おいしいね、を分かちあえる関係というのは簡単なようでいて全くそんなことはないのだな。
最後の華がすきだよ。
自分は変わらない、変えられない。
それでも好きでいっしょにいたい。
相手のことをしりたい、自分のことをしってほしい、と思う。
華のおともだち、ともちゃんもよかった。
普通ってなんだろね。
京町家、京の食材、京都の大学。
木屋町、丸太町…
夏はうだるように暑くて、冬は足の裏から刺すように寒い。
やっぱりいつになっても京都が恋しい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年4月7日
- 読了日 : 2024年4月7日
- 本棚登録日 : 2024年4月7日
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