浦野所有
→11/06/11 須藤さんレンタル
→13/06/22 返却
浦野レビュー - - - - - - - - - - - - - - -
斎藤茂吉というと、母なる大地を写実的に歌い上げた、素朴でいかにも田舎風見な歌風を想像してましたが…。自分の無知さに改めて驚いた次第です(苦笑)。
何なんですか、『赤光』の独特すぎる世界は!
きやうじんもり(狂人守)としての精神科医(=茂吉)の苦悩に満ちていたんですね。しかも、やたらと「字足らず」が多い。字余りが多いのはまあいいけれど、ここまで字足らずが多いと読みづらい! でも、脳内を心地よく狂わされる感じの、このリズムがいいっす。
<「死にたまふ母」より>
我が母よ死にたまひゆく我が母よ我(わ)を生まし乳足(ちた)らひし母よ
<「葬り火」より>
あらはなる棺(ひつぎ)はひとつかつがれて隠田(おんでん)ばしを今わたりたり
<「虫」より>
なが月の秋ゑらぎ鳴くこほろぎに螻蛄(けら)も交りてよき月夜かも
ちなみに、「ゑらぎ」は笑い楽しむという意味。この歌、いいですよねー。こういう月夜って確かに、何の特徴もないところが味わい深いです。何気ない日常に価値を見いだした茂吉の世界。ぜひご堪能ください。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
詩集・歌集
- 感想投稿日 : 2011年6月26日
- 読了日 : 2013年6月22日
- 本棚登録日 : 2011年6月26日
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