名作、待望の復刊です。
再読して思ったのは、当たり前の話ですが、やはりこの作品はとんでもない強度を持った名作なのだということ。もう何度読んだのかわからないのに、かめくんの一挙手一投足に胸が揺さぶられてしまう。かめくんの小さな喜びに、胸がきゅんとなる。かめくんが気付いていない哀しみに、胸が痛む。ぼんやりと訪れる結末に胸は締め付けられるし、それらの全てを「そう作られているから」と受け入れるかめくんの姿勢には、最早言葉を失うしかありません。
「かめくんはかめくんである。かめくんはかめくんでしかない。」――あとがきにぽんと置かれたこのフレーズの、何と切なく残酷なことか。
また、復刊にあたって手直しされたという文章は、前のバージョンよりもすっきりと読み易く整えられ、すんなり入ってくるようになっているなあと感じました。
この調子で、他の作品も復刊されると嬉しいですね。火星とかクラゲとか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(SF)
- 感想投稿日 : 2012年8月8日
- 読了日 : 2012年8月8日
- 本棚登録日 : 2012年8月7日
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