モモ: 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
- 岩波書店 (1976年9月24日発売)
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「時間」をテーマにしたファンタジー。名作です。
私が生まれたころ、1970年代の作品ですが、まったく古さを感じない、まるで現代のこと、あるいは、これからの未来のことを描いたような、不思議なお話です。
「時間」は誰にも平等に与えられた大変貴重なリソースで、誰もがそれを蓄えることも、増やすこともできない、大事な大事なものです。
しかし「時間」の価値を、人は常に考えます。
無駄を削り、効率を高め、「時間」の価値をどんどん高めようとしています。
しかしそこで高められた(ように見える)「時間」の価値は、果たしてすべての「時間」に対して平等に還元されているのでしょうか?
誰かにとって大事な「時間」、貴重な「時間」は、その人にとって、大事であり貴重であって良いもので、誰もが、誰かにその「時間」の価値を評価され、無駄だと他人に判断された「時間」をその他人に奪われるようなことはあってはならない、そんなことを考えさせられる、なんだかとっても不思議なお話です。
心の豊かさは、経済的な豊かさとは必ずしも一致しません。
「時間」の価値を、誰かの尺度ではなく、自分自身の尺度でしっかりと見極められる、そんな心の豊かさを持ち続けたいなと、モモを読んで思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年9月3日
- 読了日 : 2020年9月3日
- 本棚登録日 : 2020年9月3日
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