(012)釣 (百年文庫)

  • ポプラ社 (2010年10月12日発売)
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本棚登録 : 91
感想 : 22
3

「白毛」
最初から最後まで、クスクス笑いながら読んだ。
変な癖だな、と思っていたら、変な体験と結びついていて、もうおかしくって仕方がない。
しかも最後はメダカを釣るって、そんな馬鹿な!
実に楽しい作品でした。

「幻談」
ちょっと読みにくかった。
山の怖い話と、海の怖い話。
死者の心、というか、死者の世界を感じる2つのお話。
要するに、夏の怪談話なのだなあ。
そもそも、死んだ人の釣り竿を取る、っていうのが気持ち悪い。
こわいポイントが、ちょっとずれている。

「二閑人交游図」
なんという仲の良い2人!
逢瀬を待ち焦がれる、まるで恋人のようだ。
金がないというものの、飲んだり将棋をさしたり風呂に入ったり、あまり生活感がない。
大学生のような暮らしぶりだ。
最後に、なんだか言い訳をするかのように金繰りの話がされているけれど、この作品全体には非常に豊かな交遊が描かれている。
うらやましいほどだ。
会話に敬語が使われているところから、気持ちのよい距離と、相手を尊敬する気持ちとが思われて、温かくも風通しの良い理想的な関係が感じられた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2019年3月3日
読了日 : 2019年3月11日
本棚登録日 : 2019年3月3日

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