「里」というタイトルだから、田舎のお話もあるのかと思いきや、3作品とも遊廓のお話だった。
どれも似たような舞台なので、もうちょっと違った毛色の話も入れてほしかったなぁ。
「朴歯の下駄」
なんとも歯がゆいような、当然の結果のような。
決して交わらない距離と、温度差を感じた。
「罪な女」
熱烈で必死な恋愛。
しかし、それはやっぱり実を結ばない。
地に足がついていないから。
しがらみを、切ってみろ。
と言いたくなる。
「今戸心中」
正しく「里」さんが主人公だ。
登場人物がなんとなくざわざわしていて、やや分かりにくい。
どの人間もあてにはならない。
上っ面を流れていく。
その中でとどまる心には、行き場はない。
結局、遊女は遊女。
みんな現実に帰ってゆくのだ。
善吉に情をかけてみても、ごまかしはきかない。
そもそも、仮初の場所なのだ。
本物の心を求めてた吉里は、悲しく、あるいは愚かなのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
9・文学
- 感想投稿日 : 2019年4月15日
- 読了日 : 2019年4月15日
- 本棚登録日 : 2019年4月7日
みんなの感想をみる