(019)里 (百年文庫)

  • ポプラ社 (2010年10月12日発売)
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本棚登録 : 62
感想 : 18
3

「里」というタイトルだから、田舎のお話もあるのかと思いきや、3作品とも遊廓のお話だった。
どれも似たような舞台なので、もうちょっと違った毛色の話も入れてほしかったなぁ。

「朴歯の下駄」
なんとも歯がゆいような、当然の結果のような。
決して交わらない距離と、温度差を感じた。

「罪な女」
熱烈で必死な恋愛。
しかし、それはやっぱり実を結ばない。
地に足がついていないから。
しがらみを、切ってみろ。
と言いたくなる。

「今戸心中」
正しく「里」さんが主人公だ。
登場人物がなんとなくざわざわしていて、やや分かりにくい。
どの人間もあてにはならない。
上っ面を流れていく。
その中でとどまる心には、行き場はない。
結局、遊女は遊女。
みんな現実に帰ってゆくのだ。
善吉に情をかけてみても、ごまかしはきかない。
そもそも、仮初の場所なのだ。
本物の心を求めてた吉里は、悲しく、あるいは愚かなのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2019年4月15日
読了日 : 2019年4月15日
本棚登録日 : 2019年4月7日

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