(021)命 (百年文庫)

  • ポプラ社 (2010年10月13日発売)
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本棚登録 : 58
感想 : 15
3

「レナ・ヴィース」
優しく清らかで温かいレナ。
今は亡き彼女の姿を思い出し偲んでいる。
文章全体から、愛情がにじみでている。
敬愛の思いで胸がじりじりしている、そんな語り手の思いが伝わってくる。
派手さはないかもしれない。
しかし、いい作品だと思った。

「最後の一葉」
ひとは、と読むのか、いちよう、と読むのか、いつも迷う。
どっちでもいいみたいだけれど。
何度か読む機会があったので、非常によく知っているお話だけれど、やはり訳によって雰囲気って変わるんだなあ。
スウ、そしてベアマンさんの優しさがあたたかい。

「お守り」
これは、悪魔のお守り?
クリスチーネの最期は本当に「幸福」と言えるのだろうか?
なんとささやかで、取り返しのつかない幸福なんだろう。
クリスチーネは、強くてしっかりしている面がある反面、馬鹿な男に金を貸してしまったり、流されてしまったりと、だらしなく弱い面がある。
まるで別人のような2面性だ。
人生の前半は、与えられた過酷な運命を最大の努力で生き抜く姿のように見えたけれど、後半は、ずるずると自ら罠にかかりに行く、愚かで男を頼る自分のない女のように見えた。
結局はそれぞれの男に強く出ることのできない女だったということか。
時代が時代だったのだろう。
そして、男性の作品だからかもしれない。
ちょっと微妙な話だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2019年4月22日
読了日 : 2019年4月26日
本棚登録日 : 2019年4月21日

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