(044)汝 (百年文庫)

  • ポプラ社 (2010年10月13日発売)
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感想 : 19
4

「もう一人の私」
ホラーだ。こわい。
亡くなった双子の持つ存在感を、ひしひしと感じる。
生き残った妹側の意識であり想いが、形をもったのだろう。
入れ替わりが起こりそうな気配はなんとなくあったけれど、元に戻れたところが、よりリアルであり、気味の悪さを増幅させているような気がする。

「チョコレート」
甘い。実に甘い。
なるほど、だからチョコレートか。
やり方が不確かで、不誠実で、さすがお坊ちゃまだ。
自分の憶測だけで動き、事実確認をしない。
今回の一件から、目が覚めるといいのだけれど。
多少、地に足がつくといいのだけれど。
面白かった。

「自由詩人」
一切の責任をとらない、とれない人間なのであれば、家庭などもってはいけない。
なぜ、結婚をしたのか。
それは、やはり寂しさゆえに、か。
男と女の破局は、言うなれば本人の責任である。
しかし、子供は違う。
子供は生まれたくて生まれてきたわけではない。
だから、子供をもつのであれば、その子をできる限り幸せにしてやろう、と、努力してやりたい。
ろくでもない親に生まれて、苦労した子供。
その重みを、死ぬときになってしか本当には理解できない、理解しようとしなかった、自分勝手な父親。
私だったら、こういう男とは早々に縁を切ってしまうな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2019年10月14日
読了日 : 2019年10月15日
本棚登録日 : 2019年10月13日

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