死んだ元恋人のことを繰り返し夢にみる奇妙な夜を描いた話と、死を待つ姉を前に少しずつ気持ちを整えていく人々を描いた話の短編集です。
ひとつめのお話(『ハードボイルド』)で印象的だったのは、恋人との別れについて書かれた部分で、「季節が変わるように、時期が終わるのだ(p55)」とあります。そこに飽きたとか本人たちの意思は関係ないのだと。そんなふうに考えたことはなかったので、少し目からうろこです。
反対に「あ、私もこんなふうに考えて悩んだことがある」という場面に何度も遭遇します。
吉本ばななさんの本を読むたびに、この文章たちに全く共感するところがない女の子なんてほとんどいないのではないかと思います。
少なくとも私はそれがクセになって吉本さんの本を次々と手に取っているところです。
ふたつめのお話(『ハードラック』)で印象的だったのは次の文章です。「私はその古いマンションと、コンビニ弁当の暮らしの中で、じょじょに大人になるための心の筋肉をつけていった。(p55)」
大人になるためにはまず大人になるための準備がいるのだなと、すとんと腑に落ちる部分です。大人になりたいと日々焦っているのですが、準備をしっかりしないといけないのかもしれません。今悩んでいるいろいろなことが、それに通じるといいなと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
レビュー
- 感想投稿日 : 2017年12月27日
- 読了日 : 2017年12月27日
- 本棚登録日 : 2017年12月26日
みんなの感想をみる