ドキドキして、あっさりとは読み進められなかった。どうやらわたしの知りたかったことがたくさんここに書かれているらしいことが読みながらわかったので。
支配人、監督、操縦士、機械工。さまざまな登場人物。夜間飛行のうつくしさと、それを遂行していくための冷徹さ、そこに愛のつけいる隙がないこと。愛が必要ないということ。機械的な監督が自分のみじめさに耐えきれなくなり、自分の鞄の中身を部下に見せるシーン。最後にとりだした、小さな石っころ。老人の機械工が、たったひとつのミスで20年をつくした仕事をクビになるシーン。その手のふるえ。その手に刻まれた皺のうつくしさ。夜景の描写のうつくしさと相まって、あまりにもかなしかった。リヴィエールを愛から遠ざけてなお、つきうごかすものとは、いったいどんなうつくしさだったのだろう。
やりきれないきもちになります。やりきれないきもちになるために、生きているわけではないから、サン=テグジュペリも星の王子さまを書いたのではないだろうか、という気がします。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年7月21日
- 読了日 : 2016年2月22日
- 本棚登録日 : 2015年7月20日
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