アメリカの分裂: 多元文化社会についての所見

  • 岩波書店 (1992年6月29日発売)
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 2016年に大統領となったトランプ氏の影響で米国民の分断は深まり、2020年11月米国大統領選において勝ったバイデン氏との差は僅差、議会も共和党と民主党と拮抗しており、下院は民主党優勢、上院は2021年1月のジョージア州の決選投票に持ち込まれた。
 そんな状況のなか図書館で「アメリカ✖️分断」で検索して本著に巡り合った。
 米国という国ではアイルランド系、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系、ユダヤ系、その他多種多様な国からの移民が「坩堝(るつぼ)」のなかで「アメリカ的信条」によって融和していた。しかし、それぞれの人種が自身のルーツを自覚することで(文化多元主義)坩堝のなかの融和が分離しはじめている。著者は米国で生まれ育った米国人としてのルーツを大切にするべきと訴えている。

 132頁のある大学教授のことば、「ベイルートのような文化的多様性がある。別々の兵営があるようなものだ。黒人の若者は白人の若者と交流しようとはせず。アジア人たちは自分たちだけで集まる。抑圧されているという口実が地位を誇示するためのシンボルになっている」とても印象深い述懐だ。
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年12月6日
読了日 : 2020年12月4日
本棚登録日 : 2020年12月6日

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