第一次世界大戦についての、どちらかといえばミクロ視点の入門書。
第一次大戦は何故勃発したのかという起源についての学説を序章で概観し、以下、1914年以降の時系列に沿って大戦の戦史、政治史、時に社会史にも目を配りながら、明快に記述されている。
第一次大戦についての膨大な先行研究に立脚した論述の厚みや、学会や社会での大戦の受容のされ方の推移についてもコンパクトに述べられているのが特徴。
深みにはまりすぎずも、大戦の幅広い面についての理解をしっかり深めてくれる、一般向け図書としては大変良くできた一冊。
教科書執筆に携わっている著者だけあり、文章がこなれている。
欲を言えば、後の歴史に与えた影響や、歴史の長いスパンで見たときの第一次世界大戦の位置づけ・インパクトについての議論がもう少し多ければ、個人的には良かったかと思う。
本書ではホブズボームの「短い20世紀」論に依拠した観点から、第一次大戦のマクロの影響を述べている。
先日読んだ『20世紀の歴史』(木畑洋一 著)は「長い20世紀」論に立脚しているため、しっかり内容比較をしてみることで、この時代についての見方の幅が広がりそうだ。
ノートを取って内容比較をやってようと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2015年4月11日
- 読了日 : 2015年4月11日
- 本棚登録日 : 2015年4月11日
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