海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 1 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年5月28日発売)
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感想 : 127
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【私の評価】★★★☆☆(78点)


■いずれヴェネツィアを訪れようと思っていましたので、
 予習用としてこの本を手にしました。

 現在はほとんどが観光産業のヴェネツィアですが、
 その千年を超える歴史は、外交と貿易、
 そして戦争の歴史でした。


■ヴェネツィアの戦略は、
 海に高速道路を作るというもの。

 そしてその航路を用いて、
 他国と自由に貿易することにより
 富を生んでいったのです。

 そのためには、戦争もするし、
 海賊を攻撃したりもする。
 その方法には、こだわらなかったようです。


・ヴェネツィア人も、道徳家の殻をかぶったほうが
 有利と判断した場合以外は、一度も
 モラリストであろうとしたことはなかった民族であった。(p235)


■ヴェネツィアが協力した十字軍が
 コンスタンティノープル(イスタンブール)を攻略します。
 イスタンブールにも行きたくなってきました。

 次が読みたくなって、残り5巻を発注しました。
 塩野さん、よい本をありがとうございます。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・大義名分が有効なのは、行動するうえで、精神的拠りどころを
 必要とするからではない。行動の真の目的を巧妙にカモフラージュし、
 少しでも疑わしい事実があったらただちに介入しようと狙っている
 周辺の強国の抗議の口を、あらかじめ封ずるのに役立つからである(p89)


・法王は、この十字軍に一年間従軍した者には、
 いかなる罪も免罪にするという布告を、
 説教僧を通じてヨーロッパ中に広めた。(p149)


・キリスト教によって、奴隷制は完全に廃止されたわけではない。
 キリスト教徒を奴隷として売り買いすることは禁じられてはいたが・・・
 いまだにキリスト教化されていない人の場合は、認められていた(p104)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年5月15日
読了日 : 2010年5月15日
本棚登録日 : 2010年5月15日

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