禅に興味があって過去に何冊か本を読んだが、文化としての禅や、実践の方法に焦点を当てているものが多く、意外になぜ禅を組むのかという目的の部分が薄い気がしていた。
いままで読んで来た本には、「気分が爽快になるから」「日々がいきいきと感じられるから」などと書かれていて、実践する中で確かに効果は感じられるのだけれども、所詮「感じられる」だけで、禅なんて意味ないんじゃないか、という疑問は常にあった。
そんな日々感じていた疑問に、本書がずばり答えてくれた。
序盤は気や夢など、科学では実証されていない領域の話で、それはそれで面白いのだけれども、仮説の話が多く、曖昧模糊とした印象を受ける。
しかし、徐々に禅と脳・神経系・脳内物質を絡めた話になり、仏教の習慣や概念を科学で検証するという流れに変わってきて、とても面白い。
禅というのは、1回1回で体感できる効果は微々たるものだが、積み重ねることで絶大な効果が得られるという類いのものだと思う。
そして、こうしたメカニズムを知るのと知らないのでは、なぜ禅を組むのかという動機付けが弱くなり、続けることは難しいと思う。
そう言う意味では、禅に興味をもったとき、なんらかの意味付けや根拠を求めてしまう現代人は、まず読むべき本かもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年11月20日
- 読了日 : 2011年11月20日
- 本棚登録日 : 2011年11月20日
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