ペンギンと金髪の女の子のかわいらしい表紙と憂鬱症のペンギンと暮らす作家という設定に惹かれ読んでみたいと思っていた。文庫化されるのを待っていたけれど、本屋さんで見かけて表紙だけで購入決定。まさにジャケ買い。
動物園から引き取ったペンギンと暮らす作家。
売れない作家である主人公は新聞の死亡記事を書く仕事を引き受ける。
それをきっかけに事件に巻き込まれていく。
こう書くとミステリーという感じがするが、本書はそういう面白味よりもペンギンと暮らす主人公が預かった少女と共に暮らしていく様を読ませる作品といったほうが正しいように感じる。
ペンギンの描写がかわいらしく、少女の描写も愛らしい。
やはり動物と子供という組み合わせは最強。間違いなし。
物語と直接関係はないが、作中でコーヒーを淹れて飲むシーンがある。
わたしはコーヒーが余り好きではないが、たまに飲むときはカップにインスタントコーヒーを入れ温めたミルクをドバドバ入れて作る。一般では湯を入れて作るのだと思う。
作中で主人公は、コーヒー沸かしにコーヒー粉と水を入れて火にかけ沸騰して泡立ったら火を止めてカップに移すとある。
本書の原作者はウクライナのひとらしいので、ウクライナではこうやってコーヒーを淹れるのだろうかと面白く感じた。
ひとり暮らしの主人公が引き取ったペンギンと暮らす。
ペンギンは群れで生きる動物であるのにたった一匹で人間と暮らすものだが、そういう動物と孤独な男が暮らすところで、群れからはぐれたペンギンと社会からはぐれた男という設定が生きてくると感じた。
そこへ更に親と離れた孤独な少女が加わるため、どこにも属さない孤立したものたちという状況が際立つ。
この作家は他にも動物の出てくる作品を書いているらしいが、他の作品も読んでみたいと思わせる一冊だった。
- 感想投稿日 : 2016年4月27日
- 読了日 : 2016年4月16日
- 本棚登録日 : 2016年3月14日
みんなの感想をみる