壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年9月3日発売)
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本棚登録 : 7844
感想 : 805
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浅田次郎さんの作品は読んだことがなかった。
しかし、浅田さんの書く時代物は泣けると聞いて、今回読んでみた。
歴史を扱った日本作品を余り読まないわたしが、特に興味もなかった新撰組を扱う本書を選んだことは、我ながら意外だ。
わたしは新撰組ときくといつも、それって尊幕側だっけ倒幕側だっけという疑問。ここまで幕末に知識がない人間もいないんじゃないかというくらいゴッチャになっている。

貧しさから南部藩を脱藩し、新撰組に入隊した吉村貫一郎。全てを故郷の妻子に送り、身なりにも構わず、周りからの嘲笑にも耐える吉村が、顔見せできない南部藩屋敷に満身創痍の姿で現れたのは何故なのか。

上下二巻と長い作品で、ところどころわからない言葉もあるが、物語としては大変読みやすい。
吉村貫一郎をはじめとした東北の強い訛りを読みにくく感じるひともいるだろうが、吉村の実直で不器用とも言える人間性が東北訛りによって更に引き立ち、心に響いてくる。

新撰組に興味のないわたしのような者でも、面白く読み進められる。
まだまだわからないことも多いが、新撰組といったら土方歳三や沖田総司といった耳慣れた有名人ではない吉村貫一郎だからこそ、近く感じられ引き込まれるのかもしれない。

吉村貫一郎がどうなるのか、下巻へ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年10月25日
読了日 : 2016年10月1日
本棚登録日 : 2016年7月9日

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