脳を鍛える (東大講義 人間の現在1)

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  • 新潮社 (2000年3月1日発売)
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社会に出て何が市の仕事をするためにはあらゆる人を相手取って議論を戦わさなければならない.
キエルケ・ゴールの死に至る病;絶望を意味する
ニュートンの運動の三法則
①慣性の法則
②運動の法則
③作用・反作用の法則

人間の文化活動のすごいところは,たいてい社会有用性ゼロのところで行われている.社会はその活動をどれだけ支えられるか.
大学は自己教育の場である.定式化された知識をいかに正しく覚えるかで評価された世界から,自分で学んでいく世界に変わる.そういう世界に順応する(内的モチベーションあり)か,どうしていいかわからなくなる(内的モチベーションなし)か,どちらかである.
学校秀才に欠けているものがユニークさであり,クリエイティビティである.大学に入った時点では何物でもない.
二十歳前後は知的自己形成の感受性期である.人間的にすごい人と刺激を与え合うことが大事である.
まず,ことが起きたらとにかく現場にできるだけ早く駆けつける.次にことが起きている範囲を見極め,その全体像が眺め渡せる見晴らしのきく場所を確保する.そこからあちこち眺めて,一番面白そうなことが起きている場所を見つけてその現場に駆けつけるそこについたら,人波を押し分けかきわけ,とにかく一番前の一番よく見える場所に強引に割り込んで,ひたすら熱心に見物する.その現場でのドラマのクライマックスがすぎたなと判断したら,未練を残さず立ち去り,再びもっとも見晴らしのいい場所に立ち戻り,次にもっとも面白そうな現場がどこかを見つける.
大切なことは自分自身を知的にどういう人間に育て上げていくかという自分の頭の将来設計を考え,それを実現していくための知的練磨計画を練ること.それができたら一刻も早くそれを実践していくこと.
細分化とそのカウンターバランスである総合化をはかる動きがないと,細分化の挙句に解体され,知の全体像が見失われる.
C・P・スノー;二つの文化と科学革命
知の解体現象がはっきりと認識されるようになった.文科系と理科系の知識がひどい乖離状態に陥っている.

熱力学第一法則;エネルギー保存則
熱力学第二法則;エントロピー増大の法則
生命誕生,秩序の成立には第二法則の反対概念,つまり自己組織化現象,エントロピー減少系が存在する.

相対性理論
高速で動いている系では,距離が収縮し,質量が増加し,時間が遅くなる.強調していることは,ニュートンが提唱していた絶対静止空間がなく,運動はすべて相対的にしかわからないということ.
特殊相対性理論(1905年)
空間のすべてが等質ではなく,ニュートン力学が成立している空間と,それに対して一様な運動をしている空間(慣性空間)では,全く同じ物理法則が成り立つ.
一般相対性理論(1915~6年)
空間一般(座標系)に話を拡大

ガリレオ・ガリレイの相対性原理
慣性空間の原理を運動の法則に対してのみ適応
相対性理論は電気力学の法則,光学の法則にまで適応

これらの諸法則は,空間の対称性と深く結びついている.

相対性理論が提唱されるまでは,宇宙にはエーテルという絶対静止状態の物質によって満たされ,それを介して光や電磁波が伝わると考えられていた.

大事なのは,その常識破りの大胆な発想に,前提としての十分な根拠があるかどうか.その説に事実との整合性が十分にあるかどうか.
ヤンとリーのパリティの保存に関する実験(1956年)
世界は本質的に対称であるという常識を覆した.対称性はすべての保存則に繋がる.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2013年8月11日
読了日 : 2013年8月10日
本棚登録日 : 2013年8月10日

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