かなり面白いディストピア小説。
共同の夢を持って革命を遂行した労働者の革命が、次第に首謀者の専制へ取って代わることを描いた風刺。朝三暮四の政策にも文盲の労働者は騙され続け、終いには専制化してしまう。民主主義がいかに簡単に腐るかを描いた作品でもある。「1984年」に引き続き、記憶や制度の脆弱性を突いている。幾度となく制度と歴史は書き換えられるが、それを実証する術をもたぬ人々は、雄弁家にうまく丸め込まれてしまう。そんな歴史や記憶の社会性というか脆さも表されている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年7月9日
- 読了日 : 2015年7月8日
- 本棚登録日 : 2015年7月8日
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