知らないと恥をかく世界の大問題2 角川SSC新書 (角川SSC新書)
- 角川マーケティング(角川グループパブリッシング) (2011年3月10日発売)
『1』も読んでいたので順番どおりに今回『2』を読んだが、さすがに内容的にやや古びていて、刊行当時に読まないとあまり効果的でない気がする。「はじめに」で触れられるのは「アラブの春」(!)で、アメリカのリーダーはまだオバマ、中国は胡錦濤である。「ポスト京都議定書」がどうなるのかと話題にしているが、いまやせっかく決まった枠組(パリ協定)をアメリカが離脱して世界中を騒がせている時代である。いまさら本書を読んで、なんのためになるのか、という感じは否めない。むろん、歴史はその時代ごとのトピックの積み重ねなので、2012年のことが理解できない人が、激動する2017年現在の社会情勢を正確に把握できるはずもなく、読むことがけっして無意味であるとも思わないが。げんに、読んでいてなるほどと思うことは多かった。たとえとっくに過ぎ去ったできごとであっても、いまになってその正確な背景や経過を知ることができたのは有意義であったと思う。ただ、それとはべつに、内容が正確であるかどうかにもまた留意しなくてはならない。わたしは個人的には池上彰という人物を信頼しているが、たとえば148ページには、菅直人首相が国債の格下げについて「疎いので」という発言をしたことにいちいち触れている点などについては、疑問に思う。菅直人が財政や金融にとくに通じているとも思わないが、この発言は情報が整理されるまえに囲み取材で訊かれたため、「まだ詳細を把握していない」ということを言い間違ったというか、言葉の綾というか、とにかくそういうニュアンスのもとでもたらされたものであると思う。それを見抜けなかったのかな、と思うと池上彰もたいしたことがない気がする。北朝鮮がアメリカにアピールすることを「スカートめくり」にたとえたり、民主党にとっての社民党を「元カノ」にたとえたり、わかりやすいからわざとやっているのだろうけど、ポリティカル・コレクトネス的にどうなのよ、と思わないでもない。当時の新聞記事を読み返すよりははるかにわかりやすいが、そのぶん「主観」が入ってしまっている(むろん、新聞も主観は混じっているが)という点には気をつけなければならないと思った。
- 感想投稿日 : 2017年8月26日
- 読了日 : 2017年8月26日
- 本棚登録日 : 2017年8月26日
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