まさに「民藝」の入門書として、提唱者の柳宗悦より平易な表現で、分かり易く解説されている。
「民藝」は、明治近代化の中でしばしば登場する概念であり、その影響力から、言葉としては認識していたが、体系的に理解できたことは収穫。
このように原則論を読んでいると、時代を超えた普遍性があり、現代においても意識すべき概念ではないかと思う。
以下抜粋~
・用が生命であるため、用を果たす時、器は一層美しくなってきます。作り立ての器より、使い古したものはさらに美しいのではありませんか。
・廉価であるということが、実に美を増す大きな基礎なのです。安いものであるから、強いて美を盛ろうとは工夫していません。
・無銘の作に心が惹かれるのは、そこに一個性よりさらに大きな衆生の美があるからです。
・民藝品が特に注意されねばならない大事な理由の一つは民族性や国民性が一番素直にこの領域に現れてくるからです。
民藝こそは国民生活の一番偽りなき反映なのです。
・ご承知の通り産業革命以来、工藝は二分野に分かれ、機械製品と手工藝とが対立するに至りました。
前者はある意味では進歩した道ではありますが、不幸にも貪欲な商業主義と深く結合したため、品物を粗悪にしました。
・民藝の美の特質
1実用性
2常に多量に作られることと、廉価であること
3平常性
4健康性
5単純性
6協力性
・かくして私は民藝品の最後のまた最も重要な特色について語る場合に来ました。
それは国民性ということです。
民藝は直ちにその国民の生活を反映するものですから、ここに国民性が最も鮮やかに示されてくるのです。
地方的工藝の存在は重大な意義を有ってくるのです。
地方こそは特殊な材料の所有者であり、また独特な伝統の保持者なのです。国民的伝統の上にこそ、強固な国民的美が発露されるのです。
- 感想投稿日 : 2023年10月20日
- 読了日 : 2023年10月20日
- 本棚登録日 : 2023年10月20日
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