ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2002年7月1日発売)
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感想 : 214
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 第2巻はハンニバル戦記、すなわちローマとカルタゴの間のポエニ戦役だ。などと今だから言えるが、読む前は何も知識がなかった。古代ローマの有名な出来事だから、授業で名前くらいは聞いた気がするが、中身はまるで覚えていない。が、読んでみるとすこぶるおもしろい。もちろん歴史の授業が悪いのではなく、ひとつひとつのイベントに費やせる時間はわずかだからしょうがない。興味のある人は本書を読めばよいのだ。ハンニバルとスキピオの好対照が、項羽と劉邦にみえてくるから不思議だ。天才だが孤高狷介でもある前者は敗れ去る運命にあるのだろう。それにしてもローマ人や制度の闊達さには舌を巻く。こうして地中海の覇者となったのもむべなるかなだ。勝者と敗者はあっても正義と非正義はない。戦いが終わればノーサイドで、いっそ清々しい。それから二千年以上たっても人間は一歩も進歩していない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2024年1月10日
読了日 : 2023年12月31日
本棚登録日 : 2024年1月10日

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