サヨコに続く恩田陸の2作目。ある東北の地方都市の高校生たちの何でもないひと夏の物語。どこにでもいそうな生徒たちそれぞれが垣間見せる心の深淵。過去、現在、未来への漠然とした不安が、日常と非日常、現実と非現実のあわいをさまよいだし、言霊、まじない、神隠し、超常能力まで紙一重のところまで揺れ動く。両極端に位置するみのりと晋の対比。そのどちらもが誰の心にも棲んでいることに気づいていながら、長ずるにつれ人はフタをしてしまう。なるほどなあと感心。こういうところからスタートしたのか。ここをへて常野物語へと発展していったのだという流れがすんなりと腑に落ちる。それにしても恐るべき才能だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー
- 感想投稿日 : 2019年11月1日
- 読了日 : 2019年10月22日
- 本棚登録日 : 2019年11月1日
みんなの感想をみる