著者が車好きなせいか、車を擬人化した昨品としては「クリスティーン」に次ぐものか。ただし、こちらは車自体が意志をもって動き回るわけではなく、異世界との出入口の役割を果たすだけとはいえる。警察署内に保管したビュイックが雷鳴を轟かせ、得体の知れない生物を放出したり、人間を飲み込んだりする。おどろおどろしく禍々しい奇体な生物のグロテスクな描写シーンはまさにホラーのキングらしさ横溢。そういう楽しみ(?)はもちろんあるが、しかし本作のそれ以上の読みどころは、カートとネッドの父子にサンディ、トニー、シャーリー他いずれも人間味あるD分署の警官たちの魅力的な掛け合いではないだろうか。ホラー小説ではあるけれど、どこかノスタルジックな気分にさせられる味わい。まさにヒューマニスト、キングの面目躍如だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ファンタジー
- 感想投稿日 : 2021年8月9日
- 読了日 : 2021年7月1日
- 本棚登録日 : 2021年8月9日
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