われらがシェリンガム探偵にしてはいつになくまともな事件。しかも同じ手口の連続女性絞殺事件ときた。探偵小説でこの手の一見無関係の連続殺人といえば、かのABC殺人を引き合いに出すまでもなく無関係を装った計画殺人というのが相場だ。事件共通の関係者としてシェリンガムのよく知る友人たちが登場するがいずれも犯人らしくない。いつもの独創的な推理と撤回の繰り返しドタバタ劇はここでは影をひそめ、しごくまっとうに犯人像に迫ってゆく。とはいうものの最終的な決め手には欠けることから最後の打って出た一か八かの大博打。そこで解決してしまうのだけど、ちょっとこれは無理筋だよな。犯人がもうちょっと冷静だったら空振りだろうに。モンテカルロ事件の位置づけなんかはうまいので、その後の連続事件にもう一工夫あればというところ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2017年2月26日
- 読了日 : 2017年2月17日
- 本棚登録日 : 2017年2月26日
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