まさにタイトル通り(笑)。これはもう安積班一家の家族物語だな。須田、黒木、村雨、桜井というおなじみの面々が事件解決に活躍するのだが、短篇でもあり事件そのものなどどうでもいいのであって、要は安積班のほのぼのとした人間模様を楽しむものだ。警察小説というよりは警察署を舞台とした世話物とでもいうか。脇を固める交通課の速水とか金子課長とかもできがよすぎて、もうほんとに警察がこんなにアットホームでいいのかと思ってしまう。特に本書は短篇のそれぞれで活躍あるいは葛藤する主人公が異なっていて、安積の目配りの横糸に対して個々の班員の心象が縦糸となって交錯するという効果的なつくりになっている。しかも読んでいくうちにじわじわと神南署から新たに再開されるベイエリア署への再配置転換計画が見えかくれして次作へつながるという趣向。これはもう安積ファミリーの行く先を見届けねばという気になる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内ミステリ
- 感想投稿日 : 2015年2月27日
- 読了日 : 2015年2月26日
- 本棚登録日 : 2015年2月27日
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