さいはての島へ―ゲド戦記 3

  • 岩波書店 (1977年8月30日発売)
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3部の舞台は、1部と同じ100もの島からなるアースシーの世界。魔法やまじないがあり竜がいて、この世界での魔法の根源は、名前。普段は呼名を使い、本当の名前は本質のため信頼が置ける相手にしか明かさない。
そして魔法使いの素質がある者は、ロークの魔法学院に集う。
いまこのロークの魔法学院の学長で、大賢人を称号を得ているのは、かつて闇の扉を閉ざし、竜王となり、そしてアチュアンの墓所から壊れた腕輪を全うして世界の平和を取り戻した魔法使いの通称はハイタカ、本名はゲド。

このロークの魔法学院に、エンラッドの王子のアレンが遣わされてくる。
最近世界の様子がおかしい。魔法使いは魔法を忘れ、人々は歌を忘れ、自分を忘れた。
変わらないのは強烈な魔法で守られているロークだけだった。
若いアレンはゲドに忠心を近い、そしてゲドはアレンに王の素質と将来の可能性を感じる。
こうして大賢人ゲドとアレンは、世界の異変の根源を探り元に戻すために旅に出ることにした。

旅先の海や村では、人々はかつての自分とは変わってしまい、人間よりも先に言葉を知っていたはずの竜たちまでも言葉を失っていた。

そして旅の中で世界混乱の元は、誰かが死者と生者との境界の扉を開け、闇を世界に溢れさせたことだとわかる。
ゲドとアレンは黄泉の国に分け入ってゆく…。

===
第1部のゲドは青年期、第2部ではそのしばらくあと、そしてこの第3部のゲドはすでに50歳も近く世界一の魔法使いで大賢人の称号も持っている。だが活躍したのはもうずっと前で、現在では現役は退いているようだ。
かつて若くて素質を認められたゲドは、いまでは若いアレンに将来の可能性を感じている。
物語としては、世界が失われるという危機を自分でもわからぬままに秩序が混乱して覚えていたものを失ってゆくという重圧を感じる運びとなっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ゲド戦記
感想投稿日 : 2021年12月15日
読了日 : 2021年12月15日
本棚登録日 : 2021年12月15日

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