『人は、愛のある状態に生きるか。愛のない状態に生きるか、殆どこの二者のいずれかに属している』
福永武彦さんによる愛についての考察エッセイと短編。愛の神秘やエゴ、理解、孤独。そしてそれを表現しするために書かれた短編はどれもが印象深いです。本当に些細なんだけど真相をついていると言うか。
<絶望的な作品の真の効用、読者がそれを追体験することによって、そのような絶望を乗り越えさせる点にある。それは免疫と似ている。せっかくのワクチンで本当に病気に罹るというのでは馬鹿げている。P13>
<もし愛と孤独とがまったく均衡し、マイブになんの苦痛も不安もなく、おだやかな平安の中に魂が眠っているならば、その人において、生きていることの任務は殆どもう終わっているのだ。P61>
<自己の孤独を豊かにするための試み、愛の試みがある。P133>
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
●日本文学
- 感想投稿日 : 2021年10月6日
- 読了日 : 2021年10月6日
- 本棚登録日 : 2021年10月6日
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