今年の干支のウサギの本
挿絵赤羽末吉、文章舟崎克彦による「日本の神話」全六巻の中の第四巻です。
このシリーズは大変素晴らしい。神々の名前や国の名前も漢字を使い、言葉は重々しさもあるが丁寧な言い回しであり文章はわかりやすく、挿絵は力強くも美しい。日本の神話の大胆さ、おおらかさがそのまま感じられます。ぜひ大人も子供も読んでいただきたいです。
三巻が「やまたのおろち」で須佐之男命の活躍で、この四巻は「荒くれ者の須佐之男命の子孫で気立ての良い大国主の命」のお話。
出雲の国に住む大国主の命(正確には、大国主の名前になったのは根の国から帰ってきてからで、この時は別の名前のはずだけど)は、兄たちが因幡の国の美しい八上姫に求婚する旅の荷物持ちとしてこき使われていた。
一行が出会ったのは皮を剥がれたかわいそうなウサギさん。もともとおきの島に住んでいたうさぎは、海の向こうの因幡国に渡るのに、サメを騙したために怒らせて皮を剥かれててしまった。…きくだけでも痛い!(><;)
先にうさぎに出会った兄たちは「海水で体を洗って風に吹かれてれば治るよ」と嘘を教える。生身に塩水…、考えるのは辞めよう(><;;)
ますます泣くうさぎに出会った大国主の命は「真水で体を洗い、蒲の花粉をまぶすと治るよ」と教えてあげます。そのとおりにしたうさぎの怪我はすっかり治りました。うさぎはお礼に「八上姫はあなたと結婚しますよ」と告げます。
さてこの「しろうさぎ」、イメージでは「白兎」ですが、正しくは「素兎」であり裸兎を意味します。そのためこの絵本の挿絵でもうさぎさんの毛の色は茶色に描かれています。
なお私は、蒲の穂を見る度に「うさぎさんうさぎさん」と連想しています。蒲の穂って見た目が愛嬌ありますよね。蒲の穂(の花粉)とうさぎさんを連想した昔の人の想像力っていいなあと思う。
…さて、うさぎの予言通り八上姫は兄たちではなく大国主の妻になるといいます。大国主は、怒った兄たちに燃え盛る岩で焼き殺されてしまいます。嘆いた母神が神々に力を借りて大国主は蘇りますが、今度は兄たちに大木に挟み殺されてしまいます。
今度も神々の力で蘇った大国主ですが、母神に「ご先祖の須佐之男命のおられる黄泉の国(根の国)にお逃げなさい」と言われて、黄泉の国に向かいます。
このまま第五巻の「すさのおとおおくにぬし」に続きます。
(五巻も須佐之男命の最後の言葉がとても良い)
- 感想投稿日 : 2023年1月11日
- 読了日 : 2023年1月11日
- 本棚登録日 : 2023年1月11日
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