エレンディラ (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (1988年12月1日発売)
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感想 : 225

ガルシア=マルケスによる魔術的幻想文学の短編集。饒舌な文体と、魅力的な題名です。
あとがきでは翻訳者が、南米作家が作り出し現実と幻想を取り入れる小説手法の生まれる土壌について触れていて興味深いです。

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雨の後村に落ちてきた翼のある男。村人は彼を鶏小屋に入れ、現実の生活を続ける。
 /大きな翼のある、ひどく年取った男

海辺の村には腐った臭が漂う。しかしその年は無数に咲き乱れる花の香りが漂ってくる。
海の底には、花の咲く村、教会、死者の村があった。
 /失われた時の海

村に打ち上げられた美しい水死体。村人は彼の世話に夢中になる。
 /この世で一番美しい水死人

運命を変え、死を招く女性に会った上院議員
 /愛の彼方の終わることなき死

幽霊船を見たが相手にされなずバカにされた男が、村人に復讐するために幽霊船を誘う。やっと灯りを見つけた幽霊船は男に着いて村に打ち上げるのであった。
 /幽霊船の最後の航海

魔術師の手伝いとして共に旅を回る男は、魔術を身に着けて彼に仕返しする時を待っていたんだ。
 /奇跡の行商人、善人のブラカマン

その風がエレンディラの不運の始まりだった。
損失を取り戻すために祖母はエレンディラに客を取り国中を回る。
余談ですが、エレンディラはガルシア・マルケス代表作「百年の孤独」で若きアウレリャーノ・ブエンティーア(大佐)の初恋と初体験のお相手としても登場しています。
 /無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●南米短編
感想投稿日 : 2010年6月12日
読了日 : 2010年6月11日
本棚登録日 : 2010年6月11日

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