八歳のお葉は船頭の祖父千松爺と二人暮らし。
父と母は水に呑まれてしまった。
両親がいなくて町はずれに住むお葉は村の子供たちと一緒に遊べない。
お葉は大犬の”らん”と親しくなる。らんは盲の山伏に寄り添っていた犬で、きっと山の神様のおつかいだ。
らんに連れられお葉は山の奥深くに入り込む。
お葉は”ごんの守”に会う。
ごんの守は神様のおつかいで、位の良い狐だ。そしてそのお役目は、山の胎の水を浄めることだ。
お葉はごんの守と一緒に山のお胎(おなか)のような湖の底にお籠りをして、その時から山の声が聞こえるようになった。
ある時地面が揺れ山が火と石とを飛び散らせる。
山が火を噴けば石は飛び地面は割れ山の水は枯れてしまう。
村人だけでなく、ごんの守、らん、そして片耳片目の黒猫”おノン”も山を守ろうとするのだ。
村人は「どこか人とは違う見かけのものは神様の位を持った人だ」と思っている。
だから片目片耳の黒猫おノンは特別な猫だ。
人間の村には、たまに人間の世界とは違う風貌の動物がいる。おノンもそうだ。おノンは人間には行けない”猫嶽”と人間会とを出入りしているのだろう。
おノン強い雌猫だ、しかし強すぎて赤子にはすべて死なれてしまった。
山では神や精霊たちのお祭りがおこなわれる。おノンは今年のお祭りで山を守った霊力が認められ神様から位を与えられるという。しかしおノンが欲しかったのは、ただ小さな子供だったのだ…。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
●日本文学
- 感想投稿日 : 2018年5月27日
- 読了日 : 2021年2月10日
- 本棚登録日 : 2018年5月27日
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