個人としてはシリーズで最も読み進めるのに勇気が必要になる作品。
両親を幼い頃に亡くし、育てられた親戚たちからはまともな愛を受けずに生きてきたハリー。
そんなハリーに、両親に近い家族の繋がりを感じる存在が出てきます。それが名付け親のシリウス。
濡れ衣により指名手配中の彼と会うことは中々できず、基本は手紙が彼との繋がりでした。そんな中でも二人は着実に家族の絆を深めていました。(以下ネタバレ)
不死鳥の騎士団本部として、シリウスは相続した屋敷を提供。
親友のルーピンや犬猿の仲のスネイプらがヴォルデモートに対抗すべく動き回る中、指名手配中のため屋敷から出られない自分にもどかしさを感じていたシリウス。
(ハリーの出発を見送るために外に出て嬉しそうにはしゃぐ犬に扮したシリウスは愛らしかったな…)
終盤、ヴォルデモートの策略でシリウスの身が危ないと思ったハリーは魔法省の神秘部へ行ってしまいます。急いでそれを追いかけるシリウスら騎士団。
急遽ヴォルデモートたちとの戦闘が始まり、その中でシリウスはレストレンジの呪文を受け、神秘部にあったアーチの中に消えてしまいます。
その後ダンブルドアも参戦し、魔法省の役員たちがヴォルデモートを見たことで世間がやっと例のあの人が戻ってきたことを信じることになります。
まさかのシリウスの死というショッキングな出来事。それだけでも耐えられないほど悲しいのに、シリウスの身体はアーチに吸い込まれたのでもう彼を抱きしめることも顔を見ることもできません。
ハリーにとって唯一の家族に近い繋がりを感じていたシリウスを失った絶望ははかり知れません…。
ホグワーツでの1年を終え身支度をしているときに、ハリーは出発の時にシリウスに連絡手段に使ってくれともらった包みを見つけます。
中に入っていたのは両面鏡でした。それに向かって話しかけると対の鏡を持った人と会話ができるのです。
また会えるかもしれないという期待が膨らみ、鏡に向かってシリウスと声をかけます。しかし、鏡からの返事はありません。
ゴーストになって戻ってくるなどシリウスと再会する望みを捨てられなかったハリー。
何も映らない鏡を見て、シリウスの死を再実感するシーンは最も印象的で心が痛むシーンでした。
アーチの中に消えるという別れ方をしたため最初死を実感しにくかったのもあり、本当に辛い別れでした…。
シリウスが大好きだからこそ1番思い入れがあって、1番読み進めるのが怖くなる作品です。
必要なことだったのかもしれないけど、何回読んでもシリウスの死が受け入れられないので星4です。
賢者の石から愛というものをテーマに描かれているハリーシリーズ。本作はそんな愛した人を失うことの辛さを描いた作品だと思います。
自分の周りにいる人たちを改めて大切にしていきたいと思える本作でした。
- 感想投稿日 : 2021年12月21日
- 読了日 : 2021年12月21日
- 本棚登録日 : 2021年12月14日
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