人と人、国と国は何故、戦わなくてはいけないのか。
今現在、世界で起こっている争いも同様、こういった無辜の人の人生が失われ続けているのに何もする術がない。
上田さんの本はいつもSFめいているのでこの第一次世界大戦最中のひとりの兵士から始まる戦争のストーリーも多分違う印象で~との予感通り、魔物やら不死身の伯爵やらで内容が深い。それでも当時のヨーロッパ情勢、国と国の諍い、国境など、社会主義思想まで細やかに私の貧弱な頭に知識を注入させて下さる。第一次世界大戦の後は第二次世界大戦もあったという紙の上での知識はあったので、登場人物たちのこれから出会うであろう未来に辛い思いを抱いてしまうけれど、その当時の精一杯の生活に共感を覚える。
魔物となり、姿は変わって不死の世界を今現在も眺めているであろう、イェルクという若者にある意味同情してしまうのは、世界のため、人間のため、まだまだ働いて頂かなくてはいけないから。本当にそんな神のような存在あればいいけれど。
SF、フィクションとして普通に読み終えてしまうには勿体ない程の素晴らしい一冊でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年3月29日
- 読了日 : 2022年3月29日
- 本棚登録日 : 2022年3月29日
みんなの感想をみる