「ああ、古くて新しい課題だよ。人はパンのみにて生きるにあらず。政治だけで生きるんじゃない。文学、つまり物語が必要なんだ。過ぎ去ったあのゼロ年代ほど人々が物語に飢えていた時代もないんじゃないか?若い女の子らのケータイ小説ブームから、オタクたちのライトノベル、おばちゃんたちの韓流ドラマ熱と、それにおやじどもの不倫小説や時代小説ブームに至るまでね。誰もが物語を欲していた。日々、安っぽい物語をむさぼり食っていた。逆に言えば、それほど自らの物語を喪失していたんだ、みんな。自分探し、なんてのも、いわばそのクチだよな。この国は完全にロールモデルを失った。希望がないってのはそういうことだ。その代わりに、人々は誰もが安手の物語にしがみついている。だからさ、そんな状況を利用してうまく突いてればいい」(p.280)
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- 感想投稿日 : 2014年2月28日
- 読了日 : 2014年1月9日
- 本棚登録日 : 2014年1月9日
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