二番目の悪者

  • 小さい書房 (2014年11月26日発売)
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感想 : 218
5

この絵本は、何度でも読んでしまう。
読み聞かせにもとても良いと思う。

赤い表紙に金色のたてがみのライオン。
下部には、考えない、行動しない、という罪。ということばがある。
それがすべてを物語っている。

みごとな金色のたてがみを持つライオンが、「金のたてがみで生まれた私こそ、天に選ばれし者なのだ」と金色の服に身を包み街を歩き、次の王様になる資格があると考えていた。

だが、街ではやさしくて働きものの銀のたてがみを持つライオンに人気があった。
次のライオンになるべく、動物たちに悪い噂をふきこむ金のライオン。
最初は誰も信じなかったが、ぽつりぽつりと話題に上がり、やがてじわじわと広がる噂。
それは、街だけではなく遠いところまで膨れ上がり、いくつかの尾ひれをつけて、一人歩きし始めた。

銀のライオンは、何も言わなかった。

「嘘は、向こうから巧妙にやってくるが、真実は、自らさがし求めなければ見つけられない」
雲の呟きは流れていった。

新しい王が金のライオンとなり、好き勝手に国を治めた。
民衆は、仕事も家も土地も、生きる希望もなくし、国は荒れ果ててしまう。
荒れ果てた大地には、もう誰の姿もなかった。

「誰かにとっての都合のよい嘘が世界を変えてしまうことさえある。だからこそ、なんどでもたしかめよう。あの高くそびえる山は、本当に山なのか。
この川は、まちがった方向へ流れていないか。
皆が歩いて行く道の果てには、何が待っているのか」

考えさせられることの多い絵本。

自分の目で確かめて行動することの大切さがわかる。
すべてを失ってからわかる大切なこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月8日
読了日 : 2023年1月8日
本棚登録日 : 2023年1月8日

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