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- ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
評価:★★★★☆
最近、大御所俳優がジャンル映画に出るのが流行っているけれども、その流れを作ったのが本作の主役であるリーアム・ニーソンの 『 96時間 』 だった。
これまでは「誘拐された娘をやたら強い親父が助ける映画」のことを、スティーブン・セガール主演作に多いことから “ セガール映画 ” と読んでいたが、リーアム・ニーソンがこの手の映画をヒットさせ始めてからは、「セガール映画+大御所感」のある映画を “ リーアム・ニーソン映画 ” と(一部の人達は)呼ぶようになった。
本作も当然その流れにあるので「なんだ、ニーソンはまたこの手の映画に出てるのか」と否定的な見方をする人もいるだろうが、どころがどっこい本作はちょっと趣きが違う。
酒浸りのろくでなしが実は凄腕の殺し屋だった、という設定はよくある設定だが、大枠の設定は定番を踏襲しつつも細部は結構凝った作りになっている。
ニーソンは、アイリッシュマフィアのボスのバカ息子が原因で義兄弟であるマフィアのボスのショーンと対決することになるのだが、“ バカ息子が原因 ” というあたりは 『 ロード・トゥ・パーディション 』 を思い出させる。
『 ロード~ 』 もアイルランド系マフィアだった。
アイルランド系というと、昔気質で、地元を仕切っている、という感じなのでマフィアといっても大規模ではなく、地域密着でわりとこぢんまりとしている。
だから、この点でセガールほど非現実的な化物ではないニーソンでもなんとかなるくらいのリアリティを確保している。
ジャンル映画なのでゆるい作りではありつつも、こういうところをちゃんとしているのが、“ セガール映画 ” と “ ニーソン映画 ” の違い といえる。
定番であるカーチェイスにしても、普通はパトカーに追われるのに、本作ではサイレンを鳴らして逃げるパトカーを主人公が追いかけるという、主客が転倒した新鮮な面白さがある。
物語的には、ろくでなしが贖罪のために最後に命をかけるという西部劇の定番ものなのだが、監督が(未見だが)ホラー映画 『 エスター 』 で有名な ジャウマ・コレット=セラ ということで、映像的には定番西部劇とはまた異なるミスマッチな面白さがある。
もちろん杜撰なところはあって、団地のシーンで追い詰められた後どうやって逃げたのかさっぱりわからないところは、「時間の関係で逃げる理屈のところはカットしたのかな」と観ながら余計な気を回さなきゃいけないところもあるが、そのへんはジャンル映画と思って割り切ろう。
観るまではちょっと馬鹿にしてたけど、結構な掘り出し物だった。
- 感想投稿日 : 2016年2月23日
- 読了日 : 2016年2月21日
- 本棚登録日 : 2016年2月21日
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