少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房 (2009年1月23日発売)
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本棚登録 : 5902
感想 : 901
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著者の作品に登場する10代の子どもはかなり大人びた考え方をして(環境によりそうならざる負えなかったというのもあるが)心の中に捨て場を用意しているような、どこか冷めた目で現実世界を歩いているような、そんな感を個人的に覚える。
だから読み進めていけばいくほど、胸がきゅ~と掴まれるような切なさを感じてしまう。終わりがアンハッピーでも八ッピーでも、余韻を楽しめるような余裕は私の中にない。
今作の複雑な人間関係はどなたかのレビューに書かれていたように「相関図」を用いて頭の中で整理したくなる。そして次第につながっていくカラクリは分かっていても面白い。個々の人物・心理描写も読み手のイマジネーションがフル活動できるような巧さがある。
始めから終わりまで、「人が死ぬ」という事はどういうことでどう捉えるのか、様々な角度から色々な登場人物の言葉を使って投げかけてくるが、最後の最後まできてそれは答えを成さないものだと知らしめられるのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年10月23日
読了日 : 2012年6月5日
本棚登録日 : 2014年10月22日

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