蛇を踏む (文春文庫 か 21-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1999年8月10日発売)
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川上さん自身が「うその国に入り込んでしまって書いたうそばなしなので、うその好きな方、私の作ったうその中で遊んで行ってくださいな」と言っています(笑)
このメッセージ、最初に読んでいたら、割り切ってもっと楽しめたかな~とも思いました。 大好きになった『センセイの鞄』の著者の別の作品にも触れてみたいと思い、今作が芥川賞受賞ということで、期待大でしたから、読めば読むほどにこの不思議な世界観は???でした。一言で言うなら、境のない世界。人間と蛇の境がないし、生物と無生物の境もあいまい、形あるものは個体から液状になり、さらに気体へと…そして気持ちだって何が何だか、だあれも分かっていない。うその世界はうそだってわかっていたらそれなりに楽しい。でも境目を区切りをつけたがる人間はある意味、つらいかな、こんな世界に居続けるには。蛇母さんがしきりに「ひわ子ちゃん、ひわ子ちゃん…」と呼ぶ声だけが生々しく現実的に思えました。著者もこの作品に関しては意図などきっとなかったのではないでしょうか?そこが魅力なのかもしれません。自分で書いててレビュー自体もちょっと?になってしまい、すみません(苦笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年10月28日
読了日 : 2012年6月25日
本棚登録日 : 2014年10月28日

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