前著「国家の罠」が逮捕されて以降のことが中心であったが、この「自壊する帝国」は著者の外交官人生の原点とも言えるソ連駐在時代の事が主題になっている。佐藤優は逮捕されて有罪判決を受けてもさらに多くの人々を引きつけて止まない。それは佐藤さんの人となりに起因するところが大きいが、その人となりを構成しているものの大きな要素として「神学」があるのではなかろうか。それが「信仰」ではなく「神学」であるところが大きなミソである気がする。佐藤氏は人とのつながりや信頼関係の基本を原理原則を曲げないことに置いている。自分の掲げた原理原則は死んでも曲げない。そのことの価値の分かる人間であればたとえ立場や主義主張が違っていてもリスペクとしあい強固な信頼関係を築いていける。ただしその決してぶれない個人の原理原則がどこまで純化していくか、またそれを元にどのように周りと関わっていくのかということに「神学」という学問がかなりするどい武器になってくるのではないかと感じた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経済
- 感想投稿日 : 2016年4月24日
- 読了日 : 2007年1月10日
- 本棚登録日 : 2007年1月10日
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