収容所群島 2: 1918-1956文学的考察 (新潮文庫 ソ 2-8)

  • 新潮社 (1975年2月1日発売)
4.00
  • (5)
  • (0)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 2
5

1は逮捕までの流れからその時期の法律についてのことが書かれていました。
2も最初の方は法律の話です。どうやって大量の逮捕者を出すために工夫(!)されていったかや、如何にスムーズに拷問から銃殺まで進めることができるような法整備を整えていったかなど。
拷問も粛清も、大概の国なら過去してきたことではあるでしょうが、それにしてもこれは人数がすごすぎて比べものにもなりません。
ある資料によると1937~38年で銃殺された人数は50万だそうです。これが政治犯(この「政治犯」という言葉もここでは曲者なのですが)だけで他の犯罪者を入れていない数なのだそうですが、作者曰く、これでも「少なすぎる」と言っています。別の資料ではこの3倍の170万人という数字もあるそうです… このほかにも当然病死やら拷問死、強制労働により死亡もあるのですから。ソ連市民でこの「群島」に関係のなかった人間はいない、ということは非常に重い現実ですね。
こんな本を出版してこの作者大丈夫なんかな、と1を読んだときから思っていたのですが、2の最後の訳者後書きでやはり凄まじい攻防があったことが記されています。拷問を受けて未完の原稿(改稿している分は作者が所持)の在処を自白してしまった70歳の女性が結果、帰宅後の自宅で自殺してしまうという下りはもう悲しいとしか言えません。これが1973年ですよ。戦後30年近く経とうという時代にまだこんなことしてるんですよこの国は。
Wikiで作者について検索してみたら
「2007年6月13日 ロシア文化勲章を受章。」
という文章がありました。1ヶ月前!うわーすごい!
でも前も書いたけど、今のロシアを見ててどうなんでしょうね…こないだなんの考えもなくチェチェンの名前を出しましたけど、どうやらこの扮装は彼の活躍にも関係があるらしくて、なんか複雑…
図書館にあるこの続きは文庫じゃなくて単行本なのですよ。大きいの持ち歩くのめんどくさいし、途中はやっぱり眠くてたまらん箇所がぽろぽろあるし(笑)でどうしようかなと思ってたんですけど、この先監獄から収容所に行ってからがどうなるのか気になるのでやっぱり借りることにします。
すごい本に手出してしまいましたよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年4月25日
読了日 : 2007年7月22日
本棚登録日 : 2007年7月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする