蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書 2353)

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  • 中央公論新社 (2015年12月18日発売)
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蘇我氏と言えば歴史上では、蝦夷・入鹿親子が大化の改新(今は乙巳の変というようです)で権勢の極みから没落し、一族は歴史の表舞台から姿を消した印象が強かったのですが、本書ではそれが意外なほど長く存続していた史実を知りました。

蘇我氏が渡来人の先進技術を取り入れたり、仏教の導入を後押ししたりと当時開明的であったのと同時に、豪族間の権力争いを一族に有利に進めていき、隆盛を得ると同時に、大王と姻戚関係を結んで権力の中枢での地歩を固めます。

以降、馬子、蝦夷、入鹿と親子三代で権力を一層固めて行くのですが、乙巳の変で中大兄皇子と中臣鎌足を中心とするグループによる権力奪取により、蘇我本宗家は滅亡します。

分家も壬申の乱などの政変の渦中で、次々と滅びていくも、一つは石川家として、後に後継の宗岳家として平安期まで存続しています。

大和王朝、また当時の東アジア情勢への対処や、後の律令国家建設の土台となる6-7世紀に、蘇我氏が国益に果たした役割がいかほどであったか、また乙巳の変が起こらず、英明と言われた蘇我入鹿が権力の中枢にとどまっていたら、日本の歴史はどうなったのか、興味が尽きぬところであります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・政治・地政学
感想投稿日 : 2019年1月27日
読了日 : 2019年1月27日
本棚登録日 : 2019年1月27日

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