蘇我氏と言えば歴史上では、蝦夷・入鹿親子が大化の改新(今は乙巳の変というようです)で権勢の極みから没落し、一族は歴史の表舞台から姿を消した印象が強かったのですが、本書ではそれが意外なほど長く存続していた史実を知りました。
蘇我氏が渡来人の先進技術を取り入れたり、仏教の導入を後押ししたりと当時開明的であったのと同時に、豪族間の権力争いを一族に有利に進めていき、隆盛を得ると同時に、大王と姻戚関係を結んで権力の中枢での地歩を固めます。
以降、馬子、蝦夷、入鹿と親子三代で権力を一層固めて行くのですが、乙巳の変で中大兄皇子と中臣鎌足を中心とするグループによる権力奪取により、蘇我本宗家は滅亡します。
分家も壬申の乱などの政変の渦中で、次々と滅びていくも、一つは石川家として、後に後継の宗岳家として平安期まで存続しています。
大和王朝、また当時の東アジア情勢への対処や、後の律令国家建設の土台となる6-7世紀に、蘇我氏が国益に果たした役割がいかほどであったか、また乙巳の変が起こらず、英明と言われた蘇我入鹿が権力の中枢にとどまっていたら、日本の歴史はどうなったのか、興味が尽きぬところであります。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史・政治・地政学
- 感想投稿日 : 2019年1月27日
- 読了日 : 2019年1月27日
- 本棚登録日 : 2019年1月27日
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