世界史の概観をもう一度読んでみたいと思い、本書を手に取りました。上巻ではユーラシア大陸と北アフリカでの四大文明の勃興から、中世までへの変遷がまとめられています。
大陸での民族の移動や、統治制度の変遷、そして文化の相互影響が完結にまとめられていてわかりやすく読めました。個別の地域の詳細な歴史は別途専門書を読む必要がありますが、世界史の大きな流れを把握するには良いのではないかと思います。
ギリシアの都市国家ポリスが、領土により既定された国家の主権という概念のはじまりとなり、ローマの法体系の構築が契約関係、財産権や時代に即した立法など、今日の法治国家の基礎を形作ったというような記述は、現代社会が長い歴史の流れに浴していることを思い出させます。
またキリスト教、ヒンズー教、仏教などがなぜ幅広い地域で信者を獲得していったか。それはこれら宗教の普遍性が都会生活者すなわち故郷を離れて暮らす者たちの必要に即していたことや、アウグスティヌスの”神の国”が、西欧の世界観の源流となった点など、今後さらに読書をしてみたい論点も見つけることができたのは嬉しい点でした。
アジア地域に広範な影響を及ぼした文化として、インドの文明が挙げられています。遠い日本まで連なる仏教の伝播の軌跡を今日まで認めることができることからも、この指摘には納得することができました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・政治・地政学
- 感想投稿日 : 2020年4月21日
- 読了日 : 2020年4月21日
- 本棚登録日 : 2020年4月21日
みんなの感想をみる