牛を屠る (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2014年7月9日発売)
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本棚登録 : 349
感想 : 36
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ーー働くことの意味、そして輝かしさを描いた作品だ(p.162 巻末対談より)
ーー天職を探すのが先決と思っているよりは、わからないままでも飛び込めば、ブレイクスルーできる地点に辿り着く。(p.164 同上)

就活の時に読んでみてはどうでしょうか。
散々迷って自己評価さげまくってズタボロになった果てに手にした仕事がブルシットジョブ。なんてことが珍しくない世の中ですが、羨ましがられない仕事ほど人の役に立っていて、しかもやりがいがあるんだということがとてもよく描かれていると思います。資本主義は労働者を労働から解放するのではなく、労働を中身から解放する、とはマルクスの指摘ですが、中身から解放される前の労働が与えてくれる喜び、みたいなものが感じられました。内山節もそれに近いことを「稼ぐ」と「働く」という対比で指摘していたような。
分業は効率化と増産のための必然ですが、それが奪うものの大きさも考えさせてくれる良書です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月6日
読了日 : 2021年6月6日
本棚登録日 : 2021年6月5日

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