未発表版「サロメ」の挿絵についての相談を受けた甲斐。
彼の研究の対象は、その絵を描いたオーブリー・ビアズリー。
場所はロンドン。そして過去に遡り、姉メイベルの目線で
彼のセンセーショナルな半生が語られる。
25歳で夭折した天才挿絵画家、オーブリー。
姉で弟を溺愛する女優のメイベル。
稀代の奔放な作家、オスカー・ワイルド。
貴族の子弟でワイルドの恋人、アルフレッド・ダグラス。
四人の愛憎劇の幕が上がる。それは「サロメ」の如く・・・。
書棚から「画集ビアズリー」を引っ張り出し、
絵を確認しながら読みました。
ほんの5年の活動期間にあった出来事のフィクション化で、
実在の人物を盛り込まれています。
弟の才能のため、かつ、自分の女優への道のために奔走する
姉メイベル。仲の良い姉弟の前に現れた“怪物”オスカー。
彼と歩もうとし離れていくオーブリーへの想いが、
メイベルを“運命の女”に変容させていく・・・その過程の怖さ。
怪物は、怪物を生み、怪物を昇華させる。
退廃とデカダンスに彩られた、それは劇。主役はメイベル。
「あたしはおまえの口に口づけするよ」むぅ、ドラマチック!
時空列が前後する中に盛り込まれたミステリー感が見事でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学(日本)
- 感想投稿日 : 2020年1月29日
- 読了日 : 2020年1月29日
- 本棚登録日 : 2020年1月17日
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